2017.7.29
【たまには、GARGERYを】
みなさーん、こんにちわ。 店主の石田です。 こころむすびでは、ちょっと変わった生ビールを提供しています。 しかも、和食屋では珍しい生ビールです。 それが…『GARGERY』 です。 多分、ご存知な方は少ないと思われます。 (こころむすびでも、初来店で、このビールを知っている人は、月に一人いれば、いいほうな位ですから。) それもそのはずで、このビールは小売りをしないので、自宅では飲めない飲食店限定のビールなんです。 それが、 日本のプレミアムビール『ガージェリー』 です。 私がこのビールに一目惚れしてから、ずーっと使わせていただいております。 このビールの特徴として… (普通はこの文章のくだりからして、味わいを述べると思いきや…(笑)) 日本の有名な作家さんがこのビールのために ショートストーリー&エッセイ を描き下ろしているところです。 例えば、今や日本を代表する作家の一人 角田光代さん この方が書き下ろしたショートストーリーを今日はご紹介します。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 『あの人がくるまでのあいだ』 遅れる、ごめん。携帯のメールの文字を見て、今日という今日は許さない、と決意する。 むしゃくしゃしながら、改札の向かいにある駅ビルに入った。ウィンドウショッピングで 時間をつぶすつもりだったけど、二階に真新しいカフェを見つけた。駅ビル内とは思え ないような雰囲気のいいカフェに、誘われるようにして足を踏み入れた。 カフェは空いていた。窓際の席に座る。大きなガラス窓の向こうで、町はうっすらと 紺色だ。メニュウを開く。彼はいつも私に許されると思っている。それがしゃくに障る。見慣 れない名前のビールがある。あれ、これはたしか、ディケンズの小説に出てくる人の名前 じゃなかったっけ。ウェイターに、そのビールを頼んでみた。酔っぱらっちゃえ、と思う。だい たい、突然の遅刻は連続五回目だ。しばらくしてから、不思議なグラスに入った深い色の ビールが運ばれてきた。 一口飲んで、びっくりした。今まで味わったどんなビールよりも、香り高い、まろやかな 液体が喉をすべりおちる。喉が渇いていたけれど、ごくごく飲んでしまうにはあまりにも もったいない味。ガラス窓からおもての景色を見下ろしながら、私はそのビールをゆっくり と、まるでワインを味わうみたいに飲んだ。改札では、私みたいにだれかを待っている人も 多い。私より若い女の子、スーツ姿の男の人。ビールを三分の一ほど飲むあいだに、彼らの 待ち人があらわれる。人って、ただ会うだけであんなうれしそうな顔するんだなあ。ひょっと して、待てば待つだけ、人はうれしそうな顔で相手を迎えられるのかもしれない。いつの まにか、そんなことを思っている。変わったビールを飲んだんだよと、彼に会ったら教えて あげよう、なんて思っている。 二十分後、改札に彼があらわれる。私のグラスもちょうど空になった。立ち上がり、会計 をする。この名前、小説のなかのどんな人の名前だったか、彼に訊けばきっと教えてくれる。 駅ビルを出、改札に向かう。横断歩道のこちら側で、手をふるのに彼は気づかない。信号 が青になり、やっと彼は私を見つける。顔いっぱいで笑う。きっと私も同じ顔で笑っている。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ たまには、小説を読みながら、ガージェリーを飲んでみませんか? 本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 ~一緒に心を結びませんか?~ スタッフ募集中です。
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